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東京高等裁判所 平成11年(ネ)1614号 判決 1999年6月30日

控訴人(原告) 渡辺健

右訴訟代理人弁護士 福原弘

同 白井徹

被控訴人(被告) 四街道市

右代表者市長 中台良男

右訴訟代理人弁護士 向井弘次

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  原判決を取り消す。

二  被控訴人は、控訴人に対し、五五一一万二三七四円及びこれに対する平成八年四月一三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

事案の概要は、以下のとおり加除訂正するほかは、原判決「事実及び理由」の「第二 事案の概要」記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決三頁三行目の「昭和六〇年頃から」の次に「(甲七、八)」を加える。

2  原判決四頁一〇行目の「の供述」を削る。

3  原判決五頁一二行目の「本件事故という」の次に「。甲四、七、証人小島紀代子、原審における分離前の相被告新宮明彦、控訴人」を加える。

4  原判決六頁六行目の「したがって」の次に「、初心者の場合、一コートに一人の講師を配置し、一人の受講生に球出しをして練習するのが通常であり」を、同八行目の「練習」の次に「することは異例であって、このような練習を」をそれぞれ加え、同九行目の「もたらすことも」を「もたらすことは、通常人であれば容易に」に、同一〇行目の「が主催したテニス教室において」を「によって」にそれぞれ訂正する。

5  原判決八頁七行目の次に改行して「<3> なお、被控訴人は、テニス連盟の会員が特殊な知識、経験、才能、技術等を有するかのように主張するが、テニス連盟は、テニスのアマチュア愛好家が自主的に集まって構成している団体にすぎず、テニス連盟の会員が被控訴人主張のような知識等を有することはない。したがって、被控訴人は、テニス教室を主催する以上、講師をも含めた参加者すべての安全を配慮すべき義務を有するものである。テニス連盟がテニスの専門家集団であることを理由として、その裁量の範囲を広く認め、田所講師の履行補助者たる地位を否定することはできない。」を、同一〇行目の「委託し」の次に「、田所講師は、これを受託したのであるから、田所講師は、本件テニス教室の開催に関し、被控訴人の履行補助者であり、被用者であっ」をそれぞれ加える。

6  原判決一二頁六行目の「被告は原告に対し」から同八行目末尾までを削る。

第三  当裁判所の判断

一  当裁判所も、控訴人の請求は理由がないと認める。その理由は、次のとおり加除訂正するほかは、原判決「事実及び理由」の「第三 争点に対する判断」記載のとおりであるからこれを引用する。

1  原判決一四頁二行目の「の各供述」を削り、同四行目の「経営」を「運営」に訂正する。

2  原判決一七頁三行目末尾に続けて「なお、新宮は、本件事故当時、テニス歴が約三年あり、テニス大会にも出場するなど、いわゆる初心者とはいえない者であった。」を加える。

3  原判決一九頁六行目の「ないことから」を「なく」に訂正する。

4  原判決二〇頁一行目の「ハーフライン」を「サービスライン」に訂正する。

5  原判決二一頁二行目の「右眼」を「右眼球」に訂正し、同行の「被った。」の次に「このため、」を加え、同三行目の「右眼は」から同四行目の「不可能であり、」までを「右眼の」に訂正し、同行の「〇・〇五」の次に「(矯正視力〇・一)」を加える。

6  原判決二三頁二行目の「いなかったこと」の次に「、<4>客観的にも本件事故当時、控訴人が位置していた位置から受講生が位置していたベースライン付近までは約一七メートルもの距離があったので、講師である控訴人らが通常の注意を用いれば、ベースライン付近から飛来してくる球を避けることは容易であること」を、八行目の次に改行して「控訴人は、初心者の場合、一コートに一人の講師を配置し、一人の受講生に球出しをして練習するのが通常であり、本件練習のように、ハーフコートで二組が練習することは異例である旨主張するが、前記のとおり、本件練習方法は、一般的にテニス教室において採用されている方法であり、被控訴人主催の昭和六〇年ころからの初心者硬式テニス教室においてもテニス連盟により同様の方法が採用されていたのであるから、本件練習方法が異例の練習方法であるとの控訴人の右主張は採用できない。」をそれぞれ加える。

7  原判決二六頁二行目の次に改行して「(3) 控訴人は、テニス連盟は、テニスのアマチュア愛好家が自主的に集まって構成している団体にすぎず、テニス連盟の会員が高度の知識、技量等を有することはなく、したがって、被控訴人は、テニス教室を主催する以上、講師をも含めた参加者すべての安全を配慮すべき義務を有するものであり、テニス連盟がテニスの専門家集団であることを理由として、その裁量の範囲を広く認め、田所講師の履行補助者たる地位を否定することはできない旨主張する。しかし、控訴人自身、被控訴人(教育委員会)に比較して、テニス連盟の会員の方がテニスに関しては専門的で技量も上であることを認めており(控訴人)、そのため、前記のとおり、長年の間、被控訴人はテニス教室の開催に当たってテニス連盟に講師の派遣を依頼し、テニス教室の練習内容・指導方法を一任し、これに基づきテニス教室が大過なく行なわれていたことが認められるのであって、テニス連盟が、テニスのアマチュア愛好家が自主的に集まって構成している団体にすぎないことをもって、右(1)、(2)の認定を覆すことはできない。」を加え、同三行目の「(3)」を「(4)」に訂正する。

8  原判決二八頁四行目の「ことを期待することは困難であった」を「義務はなかった」に訂正する。

9  原判決三三頁三行目の「熟知していた上、」の次に「特に新宮とは以前から面識があり、同人が一般のテニス大会にも参加しているほどの技量を持っていることを知っていたのみならず、中には」を加える。

10  原判決三四頁一行目の「第八号証」の次に「、原審における控訴人本人の供述」を加え、同六行目の「社会的にも」から同三五頁六行目末尾までを「、講師が、図面の『原告(当初の位置)』と記載された付近からベースライン付近にいる受講生に球出しをし、これを受講生が打ち返すというものであり、講師が通常の注意を用いれば、ベースライン付近から打ち返してくる球を避けることは容易であって、そのため、一般に良く用いられている練習方法である。したがって、服部講師等が傷害を負った原因は、仮に当時行なわれていた練習方法が本件練習方法と同一であるとすれば、講師としての基本的注意を怠ったため発生した可能性が高いというべきである。」に訂正する。

二  よって、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法六七条一項、六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 塩崎勤 裁判官 小林正 裁判官 萩原秀紀)

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